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訪問、有難うございます。
「心の風」に誘われて、
思うがままに書き綴る「旅する生命科学者Nagoya」です。
(いらすとやのHPから拝借)
今回は、
「新型コロナウイルス(COVID-19)」の検査に利用されているPCRを一般の人にも分かりやすく要点だけを解説したいと思います。
「PCR」って何?
「新型コロナウイルス(COVID-19)」の検査方法として「PCR検査」があることは分かったけど、そもそも「PCR検査」って何なの?
PCR検査は、正式には「polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)」と呼ばれる反応を利用した検査法です。
PCRは、1983年にKary Mullis(キャリー マリス)博士が開発したんだよ。
そして、Kary Mullis(キャリー マリス)博士は、1993年にノーベル化学賞を授賞しているよ。
(いらすとやのHPから拝借)
現在、PCRは、「新型コロナウイルス(COVID-19)」の検査だけでなく、
- 疾病の診断
- 基礎研究
- 農業試験
- 科学捜査
等、様々な用途に使用されています。
スゴい!!
PCR(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)の概要
PCRが現代の社会に欠かせないことは分かったけど、PCRっていったい…。
DNAの特定の領域を数時間で「100万倍」に増幅できる方法です。
100万倍!!
「4色のカラーコピー」をイメージすると分かりやすいかもしれません。
(いらすとやのHPから拝借)
4色のカラーコピー??
うん、PCRでは、「緩衝液」と呼ばれる液体の中に「4つの材料」を混ぜて行います。
鋳型DNA:「コピーしたい情報の原本」に相当
コピーする時に原本が必要であるように、PCRでも原本(鋳型DNA)が必要です。
※鋳型DNAは、多くの場合、辞書の中の1項目のように大量のDNA情報の中に埋もれています。
(いらすとやのHPから拝借)
酵素(DNAポリメラーゼ):「コピー機」に相当
日常生活の中でコピー機を使って情報をコピーするように、PCRでは、「DNAポリメラーゼ」を使ってDNAをコピーします。
(いらすとやのHPから拝借)
デオキシヌクレオシド三リン酸(4種類):「4色のインク or トナー」に相当
コピー機にインクやトナーが必要であるように、PCRでは、4種類の「デオキシヌクレオシド三リン酸」が必要です。
(いらすとやのHPから拝借)
プライマー:「コピーする範囲を示す付箋」に相当
コピー機にコピーする対象をセットしてコピーするように、PCRでは、「プライマー」を付箋のように用いて「DNAポリメラーゼ」にコピーする範囲を示す必要があります。
(いらすとやのHPから拝借)
なるほど。
コピー用紙に相当する物は無いの?
良い質問だね。
PCRでは、インク or トナーに相当する「デオキシヌクレオシド三リン酸(4種類)」が連結してコピー機から出て来ます。
製麺機から出てくる麺をイメージすれば良いかな?
製麺機…。
(いらすとやのHPから拝借)
PCRに必要な「4つの材料」については分かったけど、PCRは、どうやってスタートするのかしら?
日常生活の中でコピー機を使う時、必要な情報を誰かがコピー機にセットする必要がありますが、PCRではちょっと異なります。
教えて!!
PCRでは、全てが偶然に任されています。
何それ!!
PCRでは、
- コピーする範囲を指定する「プライマー」がコピーしたい範囲に偶然結合する。
- プライマーが結合した場所にプリンターである「ポリメラーゼ」が偶然結合する。
ことを期待して行われます。
※実際には、コピーしたい範囲に結合し易くなる仕掛けが「プライマー」に施されています。
そんな適当な方法で「新型コロナウイルス(COVID-19)」の検査が行われているの?
一見適当に感じられるけど、PCRは、細胞の中で起こっていることを参考にして考えられたんだよ。
生命ってスゴい!!
PCR(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)で重要なポイント
次のことを偶然期待するということは、「プライマー」や「テンプレートDNA」、「ポリメラーゼ」の密度(正確には、濃度)が高い方が、お互いが出会う可能性が高くなって反応が起こり易そうね。
- コピーする範囲を指定する「プライマー」が「テンプレートDNA」のコピーしたい範囲に結合する。
- プライマーが結合した場所にプリンターである「ポリメラーゼ」が結合する。
うん、とりあえずは、その考えで良いです。
「とりあえず」ということは、密度(正確には、濃度)が高すぎてもダメということかしら。
正解。
イメージとしては、満員電車。
(いらすとやのHPから拝借)
本来接触したくない相手と接触してしまう様子をイメージすると良いと思います。
※あくまでイメージです。
付箋がベタベタ貼られた辞書のようになるということね。
(いらすとやのHPから拝借)
- テンプレートDNA
- プライマー
- ポリメラーゼ
3者が適度な密度(正確には、濃度)で存在することが重要です。
※他には、反応させる時の「温度」も重要。
複雑ね…。
「新型コロナウイルス(COVID-19)」の検査で行われているPCRの概略
PCR(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)自体は、「混ぜるだけ」に近いので「簡単」と言えます。
一方、「新型コロナウイルス(COVID-19)」の検査となると、少しハードルが上がります。
「感染」に気を付けなければいけないよね。
「感染」にも気を付けなければならないけど、
- 鼻咽頭から検査試料を採取する
- 検査試料から不要な物を取り除いてRNAだけを取り出す
- 取り出したRNAをDNAに変換する
という工程がPCRの前に必要になります。
大変そうね…。
うん。
- 感染している人から確実にウイルスを採取できるか
- ウイルスのRNAが壊れる前にDNAに変換できるか
が重要なポイントになります。
失敗することもあるの?
国立感染症研究所が発表しているデータによると、50個のウイルスRNAから変換されたDNAが反応溶液中に存在すれば検出できるそうです。
だから、ウイルスRNAから変換されたDNA50個より少ない場合には、感染していても「陰性」という結果になってしまいます。
「陽性」は信頼できるけど、「陰性」でも安心出来ないね。
「新型コロナウイルス(COVID-19)」は、これまでのウイルスと異なり「無症状感染者」が存在します。
Nagoyaとしては、ワクチンや治療薬開発と並行して、1週間に1度程度検査することが可能な「検査法 or 検査体制」が確立出来ると、経済活動をある程度維持できるのではないかと考えています。
そんなことしたら、病院がパンクしちゃわない?
(いらすとやのHPから拝借)
うん、だから「妊娠検査」のように「家庭で簡単に検査できる検査薬」を開発してもらいたいんだよ。
(いらすとやのHPから拝借)
家庭での検査で「陽性」だった人だけが病院でPCR検査を受けるようにすれば、病院もパンクしなさそうね。
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あとがき
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